伝統工法紹介
1.金輪
2材を1本として機能させる継手として最高のものである。
2材の仕口は対照の形状で縦と横の二つずつのメチによって、上下左右のズレを防ぎ、勾配のついたモクセンを差し込んで強力に固定して成り立つ。仕口の長さが互いに1尺ずつとっているのも効果が大きい。
軒桁、長梁の継手にふさわしい。

2.追掛大栓
仕口の長さが互いに1尺ずつあり、横ズレに対して力を持ち、2本の大栓を打ち込んで仕口が抜けないようにしたものである。
金輪を使うまでもない母屋及び隅木を継ぐのに使われる。
モクセンを使わないものは、単に追掛けと呼び、土台と土台の継手に使われたりする。

3.台持
柱の真シンでほぞを貫通させて材と材を継ぎ、クサビを打ち込んで1本とする。
この方法は柱さえあれば継ぐことのできる方法であり、材の短いものに対応する利点を持っている。
柱と束のたつ母屋の継ぎ手である。
4.鎌
鎌の形をした頭と首を持った上木の仕口を下木に落とし込むことによって継ぎ、勾配をつけて開きを止め、下木の腰掛で上木の力を受ける。
土台と土台の継手に一般で、基礎の上にアンカーボルトで固定するのを前提としている。
5.蟻
蟻の形をした頭を持った上木の仕口を下木に落とし込む継手で、土台の継ぎ手としてあり、仕口の長さが鎌の3分の1で済むため、材の長さが足りないときに用いられる。

6.合欠き
材と材が交差する桁、梁類の組手として必ず使われる。
下木にアゴをつけることによって上木を受ける力をつけ、特に見え掛かりをきっちりと見せて精度を必要とするときは上木に勾配をつけ、ヒカリ板によるスミカケを行う。
この建物ではヒカリ板によるスミカケで、地の梁と小屋梁、小屋梁と軒桁に使われた。

7.ねじ組
合欠きのアゴ部分の仕口面を隅木の落ち掛かりの仕口のスミ――勾配のあるスミに合わせてねじった仕口面を作る高度な組手である。一般には柱トツが仕口を貫通している場合が多いが、単にねじ組として独立させて使うこともできる。
隅木を受ける母屋と母屋に使われた。
8.蟻落し
材の面に対して材の木口が組まれる箇所に欠くことのできない仕口である。継手の蟻と同じ形状の上木が上から落とし込んで下木にかかり、勾配と腰掛けをつけて納まりを強固にしている。
床を受ける下遣り、小屋梁にかかるつなぎ梁、母屋にかかるつなぎ梁など使われる部材は多い。
9.大蟻
梁と梁、桁と梁などの大きな材と材を蟻で組む場合に、蟻の幅も成も大きくして仕口をつくるときに使われる呼び方である。この場合は蟻の頭が下木になり、蟻の穴が上木となり、下木には腰掛をつくって上からの力を受けている。

10.カブト蟻落し
互いの材を傷めないために同面で納めるのを防ぐため、上木にカブトの形をした掛かりをつけ、蟻で落とし込んで納める。
桁に対して組まれる、母屋に対する小屋梁に使われる。

11.隠し蟻
蟻を材の中に差し込んで横に移動させて組むことによって抜けなくなる。
蟻を差し込む穴は、差し込む材(蟻がつくられている材)の木口によって隠されて、仕口が隠れて見えなくなるのでこの名がある。
建具が入る鴨やさしものを梁につって材のたわみを防ぐものである。
12.地獄蟻
隠し蟻と同じく、仕口がまったく見えなくなってしまうものである。
平納の先はノコ目を入れ、そこにクサビを差しておき、中が広がっているトツ穴にその平トツを叩き込んでいく。クサビによって平トツが広がり蟻と同じしくみとなり抜けなくなる。
この仕口はいったん納めてしまうと絶対に抜けないことから地獄蟻と呼ばれ、隠し蟻と同じく、鴨居やさしものを梁につって材のたわみを防ぐものである。
13.胴付小根トツ ハナセン締め
胴付は材を止めるためにつけられ、見栄えを重視しないところに使われる。胴付自体は力を持たないが、相手材の欠き取り量が少なく材を傷めない。
ハナセンを使って材と材の開きを止め締めている。柱と下遣りに使われる。

14.胴付小根トツ(二枚トツ)クサビ締め
見栄えを重視しない下遣りに使われる仕口のひとつである。
小屋トツの先端にノコ目を入れて柱を貫通させ、クサビを打ち込んで開いてしっかりと固定してしまう。2枚トツが上と下についているのは、材の成が大きいためである。

15.胴付小根トツ シャチ締め
胴付は材の納まり位置を決めるためにつけられる。互いの材を傷めないために小屋トツとした下遣りと下遣りをトツ穴に貫通させて、シャチを打ち込み組まれる。
16.追入れヤトイ蟻 小根シャチ締め
差し口を追入れとしているだけで、ヤトイ蟻(トツ)を使うしくみは同じである。
柱とさしものに使われる。
17.貫の鎌
隅の柱及び途中で貫を貫通させず止める際に用いる仕口で、クサビを打ち込んで固定する。
柱と貫の仕口である。

18.メチ継ぎ
縦と横のメチを付けることによって、材と材の横ズレや縦ズレを防いでいる。
縁側のひとすじ鴨居とひとすじ鴨居を継ぐのに使われる。

19.すいつき蟻
床板などの厚板の下に木の繊維に直角に蟻の溝をつけ、そこに蟻の形状を作った桟を差し入れることにより、板の反りを止めている。
木の乾燥によって板と桟の間に隙間が出来てゆるくなったときは、蟻に勾配があるため、桟を打ち込んでいけば再び締まり、材の反りを防ぐ。
床板とすいつき桟の仕口等に使われる。
板の幅及び長さによって、すいつき桟の本数が決まる。
20.敷居のメチとヤトイトツ
柱と柱の間に納める敷居は、片方を納めたあともう一方を上から落とし込んで納める。
そのため見面(みづら:室に入って正面になる柱の面)の方は、柱面に傷がつかないようにメチをつくって先に納め、見返し(見面と向かい合う反対側の柱面)の方をヤトイトツにして上から落とし込むしくみになっている。

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